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探偵は教室にいない [日本の作家 か行]

探偵は教室にいない

探偵は教室にいない

  • 作者: 川澄 浩平
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/10/11
  • メディア: 単行本

<表紙袖あらすじ>
わたし、海砂真史(うみすなまふみ)には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校にはいって以来、長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼――鳥飼歩(とりかいあゆむ)は、九年ぶりに再会を果たす。
日々のなかで出会うささやかな謎を通して、少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。
青春ミステリの新たな書き手の登場に、選考委員が満場一致で推した第二十八回鮎川哲也賞受賞作。


単行本です。
第28回鮎川哲也賞受賞作。
「第一話の前に」が全体のプロローグ的な位置づけで、
「Love letter from…」
「ピアニストは蚊帳の外」
「バースデイ」
「家出少女」
の4話収録。
帯に「少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。」とあり、正直読む前は、学校が舞台で生徒が主人公で日常の謎の連作短編集で、ああ、ありふれた話なんだろなぁ、と期待していませんでした。

ミステリ的にはたいしたことないといってよいと思います。
鋭い推理も、意外な手がかりも、仕掛けもない。
第4話なんて、ほぼまぐれ当たりに近い。
しかしですねぇ、ものすごーく読み心地がよかったです!!
直前に読んだ「入れ子の水は月に轢かれ」(早川書房)が読みにくかったから余計にそう思えたのかもしれませんが、すごく読みやすいし、リズムもよい。
さらに、登場人物たちが、よい。
海砂真史、栗山英奈、田口総士、岩瀬京介のバスケ部4人組に、探偵役をつとめる鳥飼歩が主要登場人物ですが、海砂真史、栗山英奈、田口総士、岩瀬京介の4人が特にいいです。
4話がそれぞれ、4人の性格を反映した話になっているところもご注目、なのだと思いました。
またこの4人+1名にぜひ会いたいですね。


<蛇足1>
「小学生のころからミニバスをやっていたので、中学校でバスケ部に入るのは自然な流れだった」(13ページ)
ミニバスケットのことを、ミニバスというんですね。知りませんでした。
やっている方々にはちょっと申し訳ないですが、バスケットボールを”バス”と略すのはちょっとセンスを感じません....

<蛇足2>
「さっぱりしたところで、今日は冷蔵庫で冷やしてあるオペラを頂く。」(180ページ)
とあって、ちょっとがっかり。ここは頂く、ではなく食べる、にしてほしいです。
「みんな、真史のために一生懸命知恵を絞っている」(197ページ)
一生懸命、ですか...
文章で気になったのは実はこの2点のみ。
どちらも現在では間違いとは言い切れないものなので、全体として非常に文章が気持ちの良い作品です。


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