SSブログ

映画:ザ・メニュー [映画]

ザ・メニュー.jpg


映画「ザ・メニュー」の感想です。

いつものようにシネマ・トゥデイから引用します。

見どころ:孤島の高級レストランで振る舞われる極上メニューに隠された秘密を描くサスペンス。監督はドラマシリーズ「シェイムレス 俺たちに恥はない」などのマーク・マイロッド、製作には『バイス』などのアダム・マッケイらが参加。シェフを『グランド・ブダペスト・ホテル』などのレイフ・ファインズ、店を訪れたカップルを『ラストナイト・イン・ソーホー』などのアニャ・テイラー=ジョイと『トールキン 旅のはじまり』などのニコラス・ホルトが演じるほか、ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモらが共演する。

あらすじ:予約が取れないことで有名なシェフ(レイフ・ファインズ)が提供する極上メニューを目当てに、孤島のレストランを訪れたカップル(アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト)。素晴らしい料理の数々にカップルの男性が感激する一方で、女性は言いようのない違和感を抱く。店内が不穏な様相を帯び始める中、シェフ自慢のメニューには、思いも寄らないサプライズが用意されていたのだった。

映画のHPのあらすじの方がぴったりかもしれません。
太平洋岸の孤島を訪れたカップル(アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない有名シェフ(レイフ・ファインズ)が振る舞う、極上のメニューの数々。 「ちょっと感動しちゃって」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するカップルの男性に対し、女性が感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰囲気に。 なんと、一つ一つのメニューには想定外の “サプライズ” が添えられていた…… 。果たして、レストランには、そして極上のコースメニューにはどんな秘密が隠されているのか?そしてミステリアスな超有名シェフの正体とは……?

シェフ演じるレイフ・ファインズ、見た顔だなぁと思いつつ何に出演していたのか思い出せませんでしたが、「グランド・ブダペスト・ホテル」(感想ページはこちら)と「キングスマン:ファースト・エージェント」(感想ページはこちら)というタイトルで、ああ、と思いました。
また同様に主演の若い女性を演じるアニャ・テイラー=ジョイも何に出てたか思い出せていなかったのですが、「ラストナイト・イン・ソーホー」(感想ページはこちら)ね!


料理人をめぐる奇妙な話だと、小説ではハリー・クレッシングの「料理人」 (ハヤカワ文庫)があります。
趣向は違いますが料理ということでは、ミステリの世界ではスタンリー・エリンの「特別料理」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)をはじめとするあるジャンル(?) があり、そういう話なのかな、と予想しつつ観に行ったのですが......
いやいや、それどころではない奇天烈な映画でした。

ただ、想像の翼を拡げきっていないというか、個々のアイデアが存分に生かされているかというと不発に終わっているものが多いような気がしました。
また、衝撃的なシーンや強烈な登場人物がちりばめられているのですが、それぞれが単発のエピソードにとどまっていて、一体感がないというのか、コース料理というより、個々の好き勝手な料理が並んでいる、とでもいいたくなるような感じを受けました。
それこそ、当代一流のシェフによる練りに練ったメニューであるはずなのに......本当に、何がしたかったのでしょう?

物語の異分子と(早々に)判明するアニャ・テイラー=ジョイの扱いもそうですね。
彼女が反撃(?) に打ってでるシーンはとてもおもしろかったのですが、その後の展開が今一つピンと来ない。
このおさまりの悪さこそが特徴なのかもしれませんが。

でも、つまらないわけでは決してありません。
不思議な感じで楽しく観終わりました。
なんだか最近変な映画ばかり立て続けに見ている気がします(笑)。


製作年:2022年
原 題:The Menue
製作国:アメリカ
監 督:マーク・マイロッド
時 間:108分


nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:

泥棒は幻を見ない [日本の作家 赤川次郎]


泥棒は幻を見ない (トクマノベルズ)

泥棒は幻を見ない (トクマノベルズ)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2021/11/27
  • メディア: 単行本

<カバー袖あらすじ>
子供を虐待し死なせた疑いでニュースを賑わせていた鎌田が路上で殺された。凶器は日本刀。太刀筋も只者ではない。一体、誰が鎌田を殺したのか。刑事の真弓と泥棒の淳一夫婦は、偶然〈夜のニュースワイド〉の敏腕プロデューサー・めぐみとファミレスで知り合い、辻斬り事件の真相を追い始める。事件を追ううちに、二十年の刑期を終え出所した男と繋がっていく――。殺人の罪で有罪になりながらも、動機を一切口にしなかった男の秘密とは。人気シリーズ「夫は泥棒、妻は刑事」第二十三弾!


2022年3月に読んだ11作目(12冊目)で、最後の本です。
「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ最新刊で、第23弾。
前作「泥棒は世界を救う」 (トクマノベルズ)(感想ページはこちら)のようにげんなりすることもなく、いつもの赤川次郎節をたっぷり楽しんだ......のは楽しんだのですが、この「泥棒は幻を見ない」 (トクマノベルズ)に出てくる登場人物もエピソードも、ことごとくが前に読んだものを彷彿とさせるものばかりで、びっくりしてしまいました。
ここまで既視感ばかりというのは珍しい。
著書が640冊近くにもなると似たような話、エピソードや登場人物はどうしても出てきてしまうものだとは思いますが......

とはいえ、新しい要素も盛り込まれていて、そこは注目ですね。
プロローグにも出てくる刀の扱いは、ちょっとおもしろいなと思いました。
一方で同じ刀について気になる点もありまして、少々ネタバレに近くなるのでぼかして書きますが、この刀の扱いが、この「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズにふさわしいものだったのかどうか。
赤川次郎だったらもっと別のシリーズの方がふさわしいような気配が漂っているのが難点かと思います。



nice!(15)  コメント(0) 
共通テーマ:

ミステリと言う勿れ (2) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (2) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (2) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
美術展に行こうと乗ったバスでハイジャックにあった、久能整(ととのう)。
犯人、運転手を含む一行10人はバスで犯人の「我が家」という豪邸・犬堂家に運ばれた。
一室に閉じ込められた彼ら・彼女らに突き付けられるのは…?
episode2「後編」と、整が広島に向かうことから始まるepisode3・4を収録!!


「ミステリと言う勿れ」 (1) (フラワーコミックスアルファ)感想で、ポイントとなる整の長話をくさしておきながら、続きを読むのかと言われそうですが、第1巻の半分ほどを占めている episode 2 の続きが気になったので。

この第2巻
には
episode2 犯人が多すぎる
episode3 つかの間のトレイン
episode4 思惑通りの予定外

幕の内 episode2 と episode3 の
が収録されています。

episode2 犯人が多すぎるは、バスジャック。第1巻の続きです。
バスジャックされている状況というのに、まあ整のしゃべることしゃべること(笑)。
そんな整の話をちゃんと拾ってくれる稀有な翔くんという人物が登場します。よかったね、整。
後の方になりますが、
整「僕 まだ何か言っていいですか」
バスジャック犯「言わないつもりか?」
整「そろそろうざいって言われそうで」
バスジャック犯「もうとっくにうざいから気にするな」気にしてたのかよ!
というシーンがあって笑ってしまいましたが、そんなときも
翔「オレはいいと思うよ」
と言ってくれるんですよね。

さてミステリでこういう一定の人数の監禁というと、あるパターンがあります。
この話も「どうして人を殺してはいけないのか?」とバスジャック犯が問うあたりで、そのパターンに沿った物語なのだな、とわかります。
第2巻に移って後半に入るとそのことがはっきりします。
そして定石通りの展開へ。
マンガならではと言いたくなるような真相をつきとめます。
その後整をめぐるちょっとした、でも、シリーズにとっては大きそうなエピソードが添えられます。ちょっと怖い。

episode3 つかの間のトレイン は、広島へ向かう新幹線の中での会話です。
見えちゃったものはしょうがないのかも、ですが、隣の人の手紙を見ちゃうって、整ならではですよね......
深読みする整に対して、ここでは整以上に含蓄深いセリフを漏らす人物が出てくることが印象的でした。

episode4 思惑通りの予定外 は第3巻に続くのですね......なので次回の感想で。


<蛇足>
「そういえば名前の最後の音が一緒なんですよ
 『しょう』と『ととのう』
 最後の音が『U(ユー)』」
というのが第1巻の終盤にあるのですが、翔という名前は「しょう」というよりはむしろ「しょー」と発音するのではないかと思います。


タグ:田村由美
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:

映画:未来惑星ザルドス [映画]

未来惑星ザルドス.jpg


映画「未来惑星ザルドス」の感想です。

いつものようにシネマ・トゥデイから引用しようと思ったのですが、ページが見つからない。古い映画だからでしょうか。
かわりに、映画.com から解説を引用します。
「脱出」などで知られるイギリスの巨匠ジョン・ブアマンが、ショーン・コネリーを主演に迎えたSF映画。

2293年、人類は不老不死の社会を実現した。永遠の命を持つ特権階級のエターナルズは、荒廃した外界から隔絶された透明ドームの中で優雅な暮らしを送っている。彼らは空飛ぶ巨大神像ザルドスを建立し、それを神と崇める撲滅戦士・エクスターミネーターズを操って、外界で暮らす獣人・ブルータルズの搾取と殺戮を続けていた。ある日、エクスターミネーターズのリーダーであるゼッドが、ザルドスの中に身を隠してドーム内に潜入する。

共演は「愛の嵐」のシャーロット・ランプリング。スタンリー・キューブリック監督がクレジットなしでテクニカルアドバイザーとして協力し、「2001年宇宙の旅」のジェフリー・アンスワースが撮影を手がけた。

映画のHPからも引用してみます。
不老不死のユートピアに放たれた撲滅戦士
― 男は反逆者か、解放者か

2293年、人類は不老不死の社会を実現。特権階級の永遠人(エターナルズ)たちは、外界から隔絶された透明ドーム(ボルテックス)の中で平和で優雅な毎日を過ごしていた。彼らは空飛ぶ巨大神像ザルドスを建立、それを崇める撲滅戦士(エクスターミネーターズ)たちを操り、荒廃した外界に棲む獣人(ブルータルズ)たちの搾取と殺戮を続けている。だがある日、撲滅戦士のリーダー、ゼッドは、着陸したザルドスの口内に身を隠し、ドーム内に潜入。ザルドス=神の忠実な下僕だったはずのゼッドの目的とは一体?

かのキューブリックも協力した、
巨匠ブアマン×初代「007」ショーン・コネリーの先鋭的SF

『未来惑星ザルドス』は、前作『脱出』が大ヒットし、アカデミー作品賞、監督賞候補となった英国の巨匠ジョン・ブアマン、自ら製作・脚本も兼任、その驚異的なイマジネーションを余すことなく解き放った結果、人類の恐るべき未来を予見してしまったとてつもないSF巨篇。主演は、初代「007」のショーン・コネリー。弁髪、胸毛に赤ふんどしー半裸で大地を駆けるその雄姿によって、ボンド俳優のイメージを一新した。共演は『愛の嵐』のシャーロット・ランプリング。性を超越したクールな美貌は、まさにキャリア絶頂の美しさ。

映画化に際し、【生と死】【神と人間】【愛と性】【自然と文明】など、自作『2001年宇宙の旅』にも通じるテーマに興味を抱いたスタンリー・キューブリック監督は、ノンクレジットでテクニカル・アドバイザーとして協力。『2001年~』の名カメラマン、ジェフリー・アンスワースの抜擢など、さまざまな便宜を図ったという。憤怒の形相で地上に君臨する巨大神ザルドスの強烈造形、合わせ鏡の無限反射、サイケデリックな投射イメージ、『テネット』でも多用された逆転撮影など、ブアマンとアンスワースが映像表現の原初に立ち返ったトリック撮影も大きな見どころだ。だが、永遠の生よりも死を讃える先鋭的メッセージを突きつけるこの作品は、初公開時、一部の批評家と観客を除き、まったく理解されなかった。それから約半世紀、今も評価は揺れ続け、世界中で論議が絶えないSF映画史上屈指の問題作として孤高の地位を保っている。地球温暖化と異常気象、感染症の蔓延、終わりなき戦争、ヘイトと差別、社会を分断する格差、そして政治と宗教が癒着した全体主義―すでにディストピアと化した21世紀に生きる我々の眼に、23世紀のユートピアはどのように映るだろうか。

いやあ、変な映画観たなぁというのが正直な感想です。
変な、といってもネガティブな印象はなく、ピュアに変。
ショーン・コネリーって、こういう映画にも出ていたのですね。

設定といい、映像といい、ちっともリアルではないのに、なぜか真に迫るような気配を感じる映画でした。
逆に、観るほうに配慮したのか、わかりやすいエンディングになっていることが驚きでもあります。

惑星ザルドスの "Zardoz" 自体が寓話的な由来でできてはいるのですが(とはいえ、この名前ショーン・コネリーに対しては説得力があるとは思いましたが、そもそものネーミングとしてはあり得ないのでは?と感じてしまいましたが)、深遠なテーマとか寓意とか無理して読み取ろうとせず、そのまま感じればいいような気がします。
この作品で展開されているイメージ群は、映画や小説でわりとよく見聞きするもので、おそらくこの作品が多大なる影響を与えてきたのでしょうね。

個人的には森博嗣のWシリーズ、WWシリーズを思い浮かべながら観ました。




製作年:1974年
原 題:Zardoz
製作国:アメリカ・イギリス・アイルランド
監 督:ジョン・ブアマン
時 間:106分
nice!(16)  コメント(0) 
共通テーマ:

日曜は憧れの国 [日本の作家 円居挽]


日曜は憧れの国 (創元推理文庫)

日曜は憧れの国 (創元推理文庫)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/05/21
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
内気な中学二年生・千鶴は、母親の言いつけで四谷のカルチャーセンターの講座を受けることに。彼女はその料理教室で、同い年だが性格も学校も違う桃・真紀・公子と出会う。ところが、教室内で盗件が発生。顛末に納得がいかなかった四人は、真相を推理することに。多感な少女たちが、カルチャーセンターで遭遇する様々な事件の謎に挑む!  気鋭の著者が贈る課外活動青春ミステリ。


円居挽の新シリーズ、といってももう出版されてから6年以上経ちますが......永らくの積読すみません。
円居挽といったらルヴォワール・シリーズですが、まったく趣が違う作品でびっくり。

「レフトオーバーズ」
「一歩千金二歩厳禁」
「維新伝心」
「幾度もリグレット」
「いきなりは描けない」
5編収録の連作短編集で、カルチャーセンターを舞台に、女子中学生を主人公にした謎解きものです。
カルチャーセンターに女子中学生!?と思いましたが、四人四様の性格が楽しく読めます。
中学生にしては大人びている少女ばかりですが、それはこちらが大人を通り越してじじいの領域に足を突っ込みつつあるのでそう思うだけで、女子中学生というのは大人びているものなのかもしれません。
それに加えて、作者の視線がシビアなことが大きな特徴の作品です。

冒頭の「レフトオーバーズ」にしてから、あまりにシニカルな真相に思わぬショックを受けました。
これに続く作品も、日常の謎とはいえ、一筋縄ではいかない変化球の連続で、楽しい。
そんな折々に、中学生の悩みとか将来の不安などが描かれていきます。

「好きで選んだ道を歩いているつもりが袋小路に向かっているなんて最悪の人生ではないか。」
「自分がプレイしているゲームが袋小路のようなエンディングに向かっていないことを祈るか、それともゲームを降りて別の道を探すべきか、もしくは全く違う別の選択肢があるのか……」
「つまるところ、真紀がプレイしているのは不確実な将来に備えてのことだ。先の先までは読めないからせめて少し先を良くしていく……」(162ページ)
こんな問いを投げかけられたら、到底答えられません!

作者によるあとがきとあわせて、中学生や高校生にお勧めしたいです。




nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ: