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吾輩はシャーロック・ホームズである [日本の作家 柳広司]


吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)

吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/09/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ロンドン留学中の夏目漱石が心を病み、自分をシャーロック・ホームズだと思い込む。漱石が足繁く通っている教授の計らいで、当分の間、ベーカー街221Bにてワトスンと共同生活を送らせ、ホームズとして遇することになった。折しも、ヨーロッパで最も有名な霊媒師の降霊会がホテルで行われ、ワトスンと共に参加する漱石。だが、その最中、霊媒師が毒殺されて……。ユーモアとペーソスが横溢する第一級のエンターテインメント。

漱石とシャーロック・ホームズは、ミステリでは相性がいいですね。某作家の某有名短編(伏せても意味ないかな?)や島田荘司の「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」 (光文社文庫) などの前例あります。
これらの名作に対抗する新機軸は何か、というと、漱石が病気のせいで自分をシャーロック・ホームズだと思い込んでいる、というところです。この結果醸しだされるおかしさが本書の最大の特長だと思います。
この妄想(?)、なかなか手が込んでいまして、日本人留学生ナツメの変装をしているシャーロック・ホームズだ、と漱石は主張します。
シャーロック・ホームズもどきの推理を披露すること数度--当然間違っていますが、最後の最後に出てくる推理は、もう無茶苦茶です。爆笑する人もいるんじゃないでしょうか?
また、ホームズになった漱石が恋に落ちるところ(その相手も、いろいろとよく考えられています)や自転車に乗る練習をするところとか、笑いどころは豊富です。
もちろん、おかしいだけの作品というわけではなく、漱石が正気を取り戻して心情を吐露するところとか、犯人が動機を語るところとかは、真面目です。イギリスを、(当時の)日本をめぐる問題を正面から取り上げています。
降霊会での事件の謎解きが平凡なのは残念ですが、動機を中心に犯人像や漱石も含めた人物配置や事件の構図までよく考えられているので楽しめると思います。
ところで、表紙絵、ぼくが持っているものは、今回リンクしているのものと違うバージョン。浅野隆広さんのイラストなのですが、ガス灯と霧にけむる馬車を背景に、パイプを持った夏目シャーロックが書かれているバージョンで、雰囲気が出ていていいなと思いましたので、リンクを張っておきます。こちら

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まっきー☆

これも面白うそうですね~! 面白い本って、世の中にたくさんありますね。 そういう本にたくさん出会いたいものです。
by まっきー☆ (2012-01-13 22:11) 

31

まっきー☆さん、コメントありがとうございます。
そうなんです。本屋さんいくと、面白そうな本がもう一杯あって...
積読がぜんぜん減りません。積読だ、積読だ、というのは恰好悪いと分かっているのですが...
by 31 (2012-01-29 22:16) 

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