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検死審問ふたたび [海外の作家 わ行]

検死審問ふたたび (創元推理文庫)

検死審問ふたたび (創元推理文庫)

  • 作者: パーシヴァル ワイルド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/03/20
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
リー・スローカム検死官が、ふたたび検死審問をおこなうことになった。今回の案件は、火事に巻きこまれて焼死したとおぼしき作家ティンズリー氏の一件。念願の陪審長に抜擢され、大いに張り切るうるさがたのイングリス氏は、活発に意見を述べ、審問記録に注釈を加え、さらには実地検分に出かける気合いの入れよう。はたして、いかなる評決が下るのか。傑作『検死審問』の続編登場。

「検死審問―インクエスト」 (創元推理文庫)に続いて翻訳されたパーシヴァル・ワイルドのミステリです。原書の刊行が1942年。2009年に翻訳されたのが初訳だというのですから、まさに幻の名作だったわけですね。
前作「検死審問―インクエスト」 は、検死審問における証言と、陪審員たちのやりとりだけという非常に凝った構成の作品でしたが、この「検死審問ふたたび」 は、さらに凝っています。記録に対して検死陪審長をつとめるイングリスの注釈がつくという枠組みです。
前作もそうでしたが、検死官であるスローカム閣下は、自らに裁量があるのをいいことに、審問を長引かせれば日当が増えると、やりたい放題。手当のほしい陪審たちもそれに乗る、というなんとものんびりした法廷ミステリ(?)です。
陪審長のイングリスは、「検死審問―インクエスト」 にも登場したのですが、そんなスローカム閣下に反発し、一人奮闘(?)する、まあ、言ってみれば「困ったちゃん」で、あまりにも独りよがりな注釈がとってもおかしい。かなり鬱陶しかったりもするので、おおらかな気持ちで読む必要がありますが...
作品全体として、そんな注釈すらもプロットに織り込まれているところが、やはりすばらしい。単なる笑いのネタではないのです。
現在にも十分通用する優れたミステリだと思います。


おまけに前作の書影もはっておきます。
検死審問―インクエスト (創元推理文庫)

検死審問―インクエスト (創元推理文庫)

  • 作者: パーシヴァル ワイルド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 文庫


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コメント 2

まっきー☆

検死官といえば「スカーペッタ」のイメージしかワタシの頭の中にはありませんが、これも面白そうですね。

そういえば、カテゴリーを変えられたのですね! でも赤川次郎は別格なのですね。(* ̄ω ̄)
by まっきー☆ (2012-05-12 20:11) 

31

まっきー☆さん、いつもありがとうございます。

スカーペッタのイメージで読まれると、相当びっくりされると思います(笑)。検死官といっても、ちっとも検死しません。ちょっぴりひねったユーモアをお楽しみください。

カテゴリー、作家の名前だと左側に並んだときにずらずらと多すぎなぁ、と思って変えました。赤川次郎は、それだけでも十分多いのでやむなく別格に...
by 31 (2012-05-13 00:16) 

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