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神の名のもとに [海外の作家 あ行]


神の名のもとに (講談社文庫)

神の名のもとに (講談社文庫)

  • 作者: メアリ・W. ウォーカー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
邪教集団「ジェズリールの家」の近くで、小学生17人を乗せたスクールバスが、AK‐47銃で武装した男たちに取り囲まれ、子供たちは地面に掘った穴の中で人質になった。教団では生後50日めの赤ん坊を、神に返すといってすでに42人も鎌で殺している。女性事件記者のモリー・ケイツは恐るべき陰謀に挑むが……。

メアリ・W・ウォーカーの作品はこれまで4冊訳されていまして、
「凍りつく骨」
「処刑前夜」
「神の名のもとに」
「すべて死者は横たわる」
といずれも講談社文庫で、ご覧のとおりこの作品は3冊目。
モリー・ケイツを主人公にしたシリーズとしては、「処刑前夜」に続く2作目です。
「処刑前夜」がMWA賞の最優秀長編賞を受賞していますので、実力ある作家といえますが、これ以降の翻訳は途絶えていますね。
この本の帯には、背に「宮部みゆきが泣いた本」、正面には「宮部みゆき氏大絶賛」とあり、「最初に読んだとき、涙を抑えることができませんでした。何度も読み返しています。この感動を分かちあってください」という宮部みゆきのコメントがついています。
主人公である女性記者モーリーの側と、囚われの身となっている子供たちとバス運転手ウォルターの側、おおむね2つの視点で描かれていきます。
カルト教団との対決、という筋ですが、教団というよりはほとんど教祖(?)モーディカイひとりに焦点が当たっていて、モリーは彼の人となりを知ろうと努力します。
モリーもかなり頑張っていますが(特にラスト近くの突入シーン)、この作品の成功の秘密は、やはり囚われサイドのウォルターの人物造型です。子供たちもけなげというか、一所懸命がんばっていますし、宮部みゆきが「泣いた」のも、この部分じゃないかな、と思います。
ずっしりした読み応えが感じられる作品です。
ちなみに、原題は「Under the Beetles Cellar」で、エミリー・ディキンスンの詩から取られています。ウォルターと外部との交信(?)で重要な役目を果たす詩です。

<おまけ>
ところで、あらすじなんですが、ここまであからさまになっても“陰謀”っていうんですかね?

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