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湘南ミステリーズ [日本の作家 た行]


湘南ミステリーズ (宝島社文庫)

湘南ミステリーズ (宝島社文庫)

  • 作者: 式田 ティエン
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2011/08/05
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
女性ボードシェーパーが漁師小屋の連続放火事件を追う『波と炎』。難聴のサーファーと女子高生の恋『よい知らせを聞く耳について』。チンピラが横須賀を目指す『夏の門衛』。銀座を裸足で歩く見習いスタイリストの真意『モード・エ・サーブル』。嫁を刺して逃亡する義母『しのぎ筋』。海難事故で漂流するクルーたちのサバイバル『風のあらまし』。湘南の浜辺を舞台に繰り広げられる6つの短編集。

式田ティエンは、「沈むさかな」 (宝島社文庫) で第1回「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞を受賞しデビューした作家です。
「沈むさかな」 は二人称でつづられる、というちょっと風変わりな叙述が特徴の作品で、湘南を舞台に、ダイビングなどマリン・スポーツを扱いながら、暑くないというか、冷めているわけではないのに低温というか硬質な手触りの作品で、非常に惹かれるものがありました。
第2作の「月が100回沈めば」 (宝島社文庫) は、二人称という叙述法を続けなかったものの、やはりどことなく独特の雰囲気の漂う作品でした。
そんなわけで、とても気になる作家です。お名前も変わっていますが...
この「湘南ミステリーズ」は、連作短編集です。
単行本の時のタイトルは、「湘南ノート」で、漁師小屋に置かれたノートを指しています。
六つの物語それぞれ語り手が変わっていくのですが、共通項はこのノートです。
解説で茶木則雄さんが「神の視座」だなんだと、非常に鼻息荒く言い立てておられますが、そんな大げさに騒ぐようなことではなく、ミステリらしい仕掛け、しゃれた趣向ということだと思います。とっても気が効いているように思いました。
それぞれの話のミステリも、好みは分かれるかと思いますが、それぞれに小技が効かせてあってGOOD。
でも、やっぱり、式田ティエンの特徴は文体というか、雰囲気というか、トーンだと強く感じました。
このあと新作は発表していないようですが、ぜひ、ぜひ、また作品を出してほしいです。



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