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松谷警部と目黒の雨 [日本の作家 は行]


松谷警部と目黒の雨 (創元推理文庫)

松谷警部と目黒の雨 (創元推理文庫)

  • 作者: 平石 貴樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/09/28
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
陰ではマッタリさんと呼ばれ捜査中に俳句をひねるとの噂もある松谷警部は、目黒の殺害現場で所轄の白石巡査と合流。被害者の友人から聴取を始めたところ、過去の変死事件が浮かんできた。事件は予想外の広がりを見せるも、関係者に犯行の機会や動機は見当たらない。白石巡査の推理に期待し、松谷警部は助勢に徹するが…。犯人当ての妙味に富んだ本格ミステリ、文庫書き下ろし。


平石貴樹の新作が文庫で読めるなんて! と飛びつくように買っておいて、例によって積読。
その間に、
「松谷警部と三鷹の石」 (創元推理文庫)
「松谷警部と三ノ輪の鏡」 (創元推理文庫)
と順調にシリーズの新作が出ています。

いつもどおり、裏表紙あらすじを上で引用しましたが、創元推理文庫の常で、表紙をめくった扉のあらすじがよくできています。
目黒本町のマンションで殺害された小西のぞみの身辺を調べていくと、武蔵学院大学アメフト部「ボアーズ」との関連が浮上、更にはボアーズの仲間内でおの五年に複数の変死者が出ていると判明した。これらは繋がっているのか。松谷警部は白石巡査らと捜査に当たるが、のぞみの事件についてボアーズ関係者のアリバイはほぼ成立し、動機らしきものも見当たらない。過去の事件は不可解な点を残しながらも帰結事項となっている。白石巡査は「動機は後回し」と地道に捜査を進め、ついに犯人が分かったと宣言。松谷の自宅で清酒「浦霞」を傾けながら、白石の謎解きが始まる。果たして真相は?

こちらの方が、よくわかります。
タイトルにもなっている松谷警部は名探偵役ではなくて、引き立て役なんですね。で、名探偵は白石巡査。
杉田比呂美さんのちょっととぼけた感じのイラスト(表紙絵)が雰囲気が出ていていいですね。ぴったり。
白石以愛(しらいしいあい)ってちょっと変わった名前ですね。
「動機は後回し」というのが149ページに出てきますが、この事件の場合、動機がかなり変わっているので、見抜くのは難しいでしょう。だから、動機を後回しにするのは、なかなかいい方法だと思います。
もともとホームズもそうですが、ミステリは動機は後回しにしちゃっても構わないパターンが多く、推理を積み重ねて犯人を特定していくタイプの作品の場合、いっそ動機などなくてもいいくらい?
この本格ミステリらしい手際のよさが、平石作品の最大の長所なので、きっちり楽しみました。
(誤解のないように付言しておきますと、決して動機を無視しているわけではありません)

ただ、アメフト部の面々のつながり具合がちょっと理解を超えているというか、不思議です。
ひとりの女性を数人の男で取り巻き、大学時代を卒業してずいぶん経ってもまだその状況が変わらないという設定、現実味ありますかね? その女性は、白雪姫にたとえられたりもしています。ちょっとなんだかなぁ、と。
もちろん、だからこその事件、という流れになっていて、さすが、なのですが。

さて、ひさしぶりの平石貴樹、堪能しました。
「松谷警部と三鷹の石」 「松谷警部と三ノ輪の鏡」 、楽しみです。


<蛇足>
八王子に中野ってあるんですね(85ページ)。
中野区の中野には若干土地鑑がありますが、八王子は知らないので、ちょっと行ってみたいなぁ。でも、なにがあるわけでもないでしょうから、単に行くだけ、でしょうけれど。






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