老子収集狂事件 [日本の作家 は行]
<カバー裏表紙あらすじ>
弱小タウン誌『え~すみか』のバイト編集者・真島が出会った美女書道家の胡蝶先生は、中国の思想家・老子の言葉を引用し、どんな謎をも解き明かす名探偵だった。ある日、寂れた神社の賽銭箱に、三千万円が投げ入れられる珍事が起こる。折りしも、街では猫の連続行方不明事件も起きているようで……。
『ハルさん』の著者が贈るほのぼのユーモアミステリー、すべての謎が明かされる涙と笑いの完結篇!
読了本落穂拾いです。
藤野恵美「老子収集狂事件」 (ポプラ文庫ピュアフル)。
「猫入りチョコレート事件」 (ポプラ文庫ピュアフル)(感想ページはこちら)の続編にして完結編。
手元の記録によると2017年10月に読んでいます。「猫入りチョコレート事件」からそれほど間を開けずに読んだのですね、珍しい。
今回もタイトルが「老子収集狂事件」と、やってくれています。
収録作品は
「見えないスクリーン」
……ジョン・スラデック「見えないグリーン」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「金曜日ナビは故障した」
……ハリイ・ケメルマン「金曜日ラビは寝坊した」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「五匹の仔猫」
……アガサ・クリスティー「五匹の子豚」 (ハヤカワ・クリスティー文庫)
「そして江角市の鐘が鳴る」
……キャサリン・エアード「そして死の鐘が鳴る」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「老子収集狂事件」
……ディクスン・カー「帽子収集狂事件」 (創元推理文庫)
の5つ。
それぞれ内容が元の作品にちなんでいるわけではないですが、こういうのは楽しい。
前作「猫入りチョコレート事件」のあとがきで作者も「少しでも朗らかな気持ちになり、くすりと笑っていただけたなら幸いです」と書いておられた通り、肩の凝らない軽ミステリを目指した作品で、それはその通りなのですが、探偵役である(はずの)胡蝶先生の謎が明らかになっていくにつれ、現実的なというか俗世間的なというか、世知辛い(?) 内容も絡んできます。
老子の使い方はかなり強引ですが、猫が登場するので許す!(←偉そうに、何様?)
大器晩成ならぬ大器免成というのは気に入りました。いい言葉。
推理に使う老子は強引で無理筋でも、物語の着地に用いられるところはしっくりきました。
軽ミステリとして楽しい連作です。
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