SSブログ

シャーベット・ゲーム 四つの題名 [日本の作家 か行]


シャーベット・ゲーム 四つの題名 (SKYHIGH文庫)

シャーベット・ゲーム 四つの題名 (SKYHIGH文庫)

  • 出版社/メーカー: 三交社
  • 発売日: 2016/12/10
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
傷害事件に秘められた暗号の謎とは──?
朝霧学園高校に通う穂泉沙緒子(ほずみさおこ)と和藤園子(わとうそのこ)は、クラスメイトの塀内准奈から県内名門校の神原高校で殺人未遂事件があったことを聞く。被害者はミステリー文芸部の部員で、そのポケットには謎の暗号が書かれた紙が入っていた。そしてミステリー文芸部が出している作品集の目次にも違和感のある題名が書かれており──。事件に興味を持ったふたりは、神原高校に向かう。<四つの題名>
他、大学のテニスサークルで起きた不可解な服毒自殺事件<まだらの瓶>を収録。沙緒子と園子が再び事件に挑む!


読了本落穂ひろいです。
2018年2月に読んだ本で、階知彦の「シャーベット・ゲーム 四つの題名」 (SKYHIGH文庫)
前作「シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究」 (SKYHIGH文庫)(感想ページはこちら)に続くシリーズ第2作です。

堂々たるラノベですが、前作に続き、手掛かりをベースにして推論、推理を組み立てていく部分の比重が高いのがGOODです。

たとえば冒頭19ページあたりからに披露される、友人の読書の謎。
やや乱暴なところ、飛躍のある議論になってはいるのですが、導き出される結論が極めて現実的、かつ、ありそうなところに落ち着くので、読んでいて爽快です。

「四つの題名」と「まだらの瓶」の二話が収録されており、どちらも<問題編><解決編>に分かれています。
読者への挑戦は挿入されていないものの、読者に推理してみよ、と迫る構成で、ここもいいですね。

「四つの題名」は、部活動の文芸誌が手掛かりになる物語で、その作中作が手掛かり、というよくある構成ではないのがポイント。
ある登場人物の行動が、正直あまり共感できない、というか、そういう風には考えない、そういう風には行動しない、と個人的には思われるものになっているのですが、それをきちんと沙緒子の推理で浮かび上がるようにしている点がいいなと思えました。

「まだらの瓶」は、非常にあからさまな手がかりを冒頭に配したところが印象的。
いやいやタイトルからしてネタバレになっているという大胆な作品ですね。
でも、このトリック(?) 、うまくいかない気がするんですけれど、大丈夫でしょうか?

楽しいシリーズだったのですが、このあと続巻は出ていないようです。
続巻出してほしいですね。


<蛇足1>
「推理小説は警察関連、犯罪関連の専門用語も多い。辞書がなければすべての単語を理解しながら読み進めるのは至難の業。」(21ページ)
原書で読むことを想定したセリフです。
辞書があっても読み進めるのは至難の業なのですが......

<蛇足2>
「大棟くんは、この『こだわり』とも言えるほどの美学を知っている。」(114ページ)
というセリフが出てきて「こだわり」という語にひっかかったのですが、ひっかかることもなかったかな、と思いました。
「こだわり」は本来悪い意味に使う語ですから「美学」には似つかわしくないと思ったからひっかかったのです。でも、ここの「こだわり」は悪い意味だとしてもセリフの意味はしっかり通りますので。

<蛇足3>
「沙緒子が、紅茶を静かにすすりながら言った。」(166ページ)
「すする」という語は、音を立てながら、という含意を含む語だと理解していましたが、”静かに”すするとなると、音は立てずに吸い込むように飲んだ、ということでしょうか。







nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 13

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。