悪い夏 [日本の作家 さ行]
<カバー裏帯あらすじ>
26歳の守は地方都市の社会福祉事務所で、生活保護受給者(ケース)のもとを回るケースワーカーとして働いていた。曲者ぞろいのケースを相手に忙殺されていたその夏、守は同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースである22歳の女性に肉体関係を迫っていることを知る。真相を確かめるために守は女性のもとを訪ねるが、やがて脅迫事件は形を変え、社会のドン底で暮らす人々を巻き込んでいく。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出をもくろむ地方ヤクザ。負のスパイラルは加速し、ついには凄絶な悲劇へと突き進む――。
「いつか必ず、人生を取り返してやる」
生きづらい社会を克明に描く、迫真の犯罪小説。
第37回(2017年)横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作。
積読にしている間に文庫本が出ています。
見事なまでに、ゲスな人間、クズしか出てこない通俗的犯罪小説。
読みやすいです。
「正義を掲げるというよりは、悪を叩き潰したい。この二つは同じようで微妙にちがう気がした。」(61ページ)
なんて、おやっと思わせてくれる表現もあり、筆力はお持ちのようでぐいぐい読めます。
ただ、いかんせん好みに合いません。
あまりにも救いがなさすぎる。
扱われている生活保護というテーマ自体が救いがないのだ、ということなのかもしれませんが......
ジメジメ、ジトジト、陰鬱な世界がお好きなかた、どうぞ。この作品は、あなたのためにあります。