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三毛猫ホームズの懸賞金 [日本の作家 赤川次郎]


三毛猫ホームズの懸賞金 (カッパ・ノベルス)

三毛猫ホームズの懸賞金 (カッパ・ノベルス)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/06/22
  • メディア: 新書

<カバー裏あらすじ>
卑劣な無差別殺人事件に潜む現代社会の闇!?
新たな難事件に片山兄妹&ホームズが挑む!
会社員の男が通勤途中のバスの中で殺された。男は死の直前、「俺は狙われてる」と言い残していた。一方、売れない歌手・百瀬太朗が出演するパーティーで、人気歌手の辻村涼が毒殺される。パーティーの直前、百瀬のマネージャーの元に「百瀬が歌に手を抜いたら殺害する」という脅迫メールが届いていたという。片山刑事と妹・晴美、そしてホームズたちは事件を追うことに。一見関わりがないように思える事件を繋ぐものとは……? 謎が謎を呼ぶ怒濤のサスペンス・ミステリー! 大人気シリーズ第54弾!


三毛猫ホームズシリーズも54冊目ですか...すごいですねぇ。
とこのシリーズ恒例の書き出しで始めました。
2021年10月に読んだ13冊目の本です。

前作「三毛猫ホームズの裁きの日」 (光文社文庫)(感想ページはこちら)の感想で書いた、片山刑事の設定の件は特段注意が払われている気配もなく、普通にもとに戻っています。

帯に
「ゲーム感覚の無差別殺傷事件と芸能人を狙った犯罪をつなぐ謎とは」
と書かれているのですが、ちょっと筋書きに無理があるかな、と。

「でも、普通のサラリーマンが、いくら50万円もらえるとしても、人を殺したりしないでしょ」
「それはそうだ。しかし、ゲーム感覚でうまくやれるか試してみようって奴ならいるかもしれない」
「そうね。──ネットでフェイクニュースを信じて人を殺しちゃったりする世の中だもんね」(100ページ)
という箇所がありますが、ちょっとこの感覚はわからないですね。
こういう点をさらっと「現代社会のひずみから生まれた悪意の連鎖」と言われましても......
これをプロットの中心に据えるのであれば、このあたりを説得力をもって描き出してもらわないといけないと思うのですが、特に深入りすることもなく、これを前提に物語が展開されていきます。
提示される犯人像がこの趣旨に沿って設定されているので、説明がないことのサポートになっているのだということなのかもしれませんが、肝心なところをごまかしてしまった印象が拭えません。

赤川次郎も執筆のペースはずいぶん落ち着いてきましたし、いちどじっくり腰を据えた作品を待ちたいところです。


<蛇足1>
「矢崎さんのケータイは?」
「返したはずだ。しかし、内容はチェックしていなかっただろうな」(37ページ)
殺人事件の被害者の携帯電話があったのに、警察が内容をチェックしないなんて、ありますか?

<蛇足2>
「あそこのモーニングのワッフル、おいしいよ”」
「そういうことは、高校生ぐらいが詳しいわね」
 と、小夜が笑って言った。
 ともかく、その店に入って、片山はモーニングのトーストを食べた。(91ページ)
ここの「ともかく」は、なんでしょう? 雑な文章を書かれたものです。





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