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風ヶ丘五十円玉祭りの謎 [日本の作家 青崎有吾]


風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)

風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)

  • 作者: 青崎 有吾
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/07/20
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
夏祭りにやって来た、裏染天馬と袴田柚乃たち風ヶ丘高の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物しても、お釣りが五十円玉ばかりだったのはなぜ? 学食や教室、放課後や夏休みを舞台に、不思議に満ちた学園生活と裏染兄妹の鮮やかな推理を描く全五編。『体育館の殺人』『 水族館の殺人』に続き、“若き平成のエラリー・クイーン”が贈るシリーズ第三弾は、連作短編集。


上のあらすじにも書いてありますが、
「体育館の殺人」 (創元推理文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら
「水族館の殺人」 (創元推理文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら
に続く裏染天馬シリーズ第3弾で、今回は短編集ですね。
解説で、「本書が刊行されたので、もはや《館シリーズ》とは呼べなくなった」と村上貴史が書いていますが、短編集にまで「館」とつける縛りを課さなくてもよいような気がします。
シリーズは次の「図書館の殺人」 (創元推理文庫)も文庫化されています。

「もう一色選べる丼」
「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」
「針宮理恵子のサードインパクト」
「天使たちの残暑見舞い」
「その花瓶にご注意を」
の5編に「おまけ 世界一居心地の悪いサウナ」が収録されています。

裏側の帯に各話の謎が簡潔に紹介されています。
なぜ学食の脇に食べ残しのどんぶりが放置されたのか 「もう一色選べる丼」
なんと『競作五十円玉二十枚の謎』に挑戦 「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」
どうして吹奏楽部の男子はいつも練習場から閉め出されるのか 「針宮理恵子のサードインパクト」
どうやって少女すたりは教室から忽然と消えたのか 「天使たちの残暑見舞い」
誰が廊下の花瓶を粉々に割ったのか 「その花瓶にご注意を」

「もう一色選べる丼」は、裏染天馬自らが「どんぶりで掬ったみたいな大雑把な推理だ。どんぶり勘定ならぬどんぶり推理だな」(50ページ)と自嘲(?) していますが、学校でならこういうこと起こるんでしょうか? 初々しい感じがして好感は持てましたが。(そうなんです。柚乃のように「けしからん!」とは思いませんでした)
「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」は、無理だなぁ、この答、と思いました。面白い謎だな、と思ったのですが、解答は犯人像から考えても、ギリギリセーフではなく、ギリギリアウトなんじゃないかな、と。余談ですが、「祭り」なんですね、「祭」ではなく。
「針宮理恵子のサードインパクト」も、こういうことになるかなぁ、と不思議に思いました。犯人と同じ属性の人に(ネタバレを避けるため、こう書きます)、こんな感じですか? と聞いてみたいです。個人的には、この設定、登場人物たちだったら、男子を閉め出すのではなく......ともっと大胆なことを考えてしまいましたが......この点も犯人と同じ属性の人のご意見を乞いたいですね。
「天使たちの残暑見舞い」は、解決が鮮やかだと思いはしましたが、これも無理でしょうねぇ......「深く眠り込んで」いたとしても、さすがに気づくでしょう。
「その花瓶にご注意を」は、天馬ではなく、天馬の妹の鏡華が探偵役を努めます。この謎解きは集中で一番納得感ありますね。情景を想像すると笑えてくるところもいいです。
「おまけ 世界一居心地の悪いサウナ」は、名前は出ていませんが、天馬と思しき少年がサウナで嫌な人物と遭遇する、というエピソード。

短編でもしっかり楽しめましたが、でもやっぱり長編が読みたくなりましたね。
「図書館の殺人」 (創元推理文庫)に期待がいよいよ高まっています!



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