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ポケットにライ麦を [海外の作家 アガサ・クリスティー]

ポケットにライ麦を〔新訳版〕 (クリスティー文庫)

ポケットにライ麦を〔新訳版〕 (クリスティー文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/08/20
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
会社社長が何者かに毒殺された。遺体のポケットにはなぜかライ麦が。それは、恐るべき連続見立て殺人の端緒だった。さらに社長宅のメイドが洗濯ばさみで鼻をつままれた絞殺死体で発見される。彼女を知るミス・マープルは義憤に駆られ、犯人探しに乗り出す! 新訳で贈る、マザー・グースに材を取った中期の傑作。


去年はアガサ・クリスティー デビュー100周年、生誕130周年。記念した早川書房のクリスティー文庫の6ヶ月連続新訳刊行、
「予告殺人〔新訳版〕」 (クリスティー文庫)(感想ページはこちら
「雲をつかむ死〔新訳版〕」 (クリスティー文庫)(感想ページはこちら
「メソポタミヤの殺人〔新訳版〕」 (クリスティー文庫)(感想ページはこちら
に続く第4弾です。

この作品も旧訳で読んでいますが、まあ、きれいに忘れていること(笑)。
童謡殺人を扱っていることは覚えていたのですが(まあ、タイトルから自明ですが)、気の利いた使い方だったことは覚えていませんでした。
童謡殺人をこういうふうに使うのは、この作品が最初だったのでしょうか?

そして、なにより、ミス・マープル。
解説で霜月蒼がかっこよく書いているので、ぼくのへなちょこな感想など何のプラスにもなりませんが、怒りに震えて謎解きに乗り出すミス・マープルって、なんだか勇ましい。ミス・マープルって、こういう人でしたっけ?
炉端で編み物をしながら人の話を聞いて真相を言い当てたりするのではありません。また、詮索好きのばあさんが、余計なことに首を突っ込んで嗅ぎまわるのでもありません。
よく知る娘を殺した犯人に鉄槌を下すべく、能動的に、積極的に謎解きに乗り出すのです。

綺羅星のようなクリスティーの名作群の陰で割りを食っているのかもしれませんが、これは十二分にお勧めできる名作だと思いました。
新訳、ありがとう。



<蛇足>
「まさかーーとんでもありません。」(350ページ)
とんでもない、を、とんでもありません(あるいは、とんでもございません)と活用させるのは間違いだと教わって、このブログでもたびたび指摘してきましたが、間違いではないという説もあるようですね。
それでも、気になって気になって......



原題:A Pocket Full of Rye
著者:Agatha Christie
刊行:1953年
訳者:山本やよい







ポケットにライ麦を〔新訳版〕 (クリスティー文庫)



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