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バイバイ、ブラックバード [日本の作家 伊坂幸太郎]


バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)

バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2013/03/14
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
星野一彦の最後の願いは何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」――これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。〈特別収録〉伊坂幸太郎ロングインタビュー。


この「バイバイ、ブラックバード」 (双葉文庫)、帯に「長編6冊分にも匹敵するおもしろさ!」と書いてありまして、5人の恋人たち+1 で6冊分ということなんだと思うのですが、これ、ある意味ネタバレかなぁ、と変な心配をしてしまいます。

この前に読んだ伊坂幸太郎の作品、「オー! ファーザー」 (新潮文庫)(感想ページはこちら)のカバー裏のあらすじに「面白さ400%」とあって、そちらは父親一人につき100%のおもしろさということだと思われるのですが、こういう惹句、伊坂幸太郎につきものなのでしょうか(笑)。

「オー! ファーザー」は、母親が四股!をかけていて、結局父親4人という状況になっているという設定でしたが、今度の「バイバイ、ブラックバード」は五股! こっちのほうがうわてですね。

「オー! ファーザー」に「伊坂ワールド第一期を締め括る」と書かれていましたが、その直後の「バイバイ、ブラックバード」はいつもながらの伊坂節(?) を十分楽しむことができました。

現実と地続きのようでいて、不思議とファンタジック。それでいて縁遠い感じがしない。
この感触を楽しむことこそ、伊坂幸太郎を読む喜びのひとつ。
存分に楽しめます。

この作品でおもしろいのは、5人の恋人それぞれのエピソードもさることながら、やはり主人公星野一彦の御目付役(?) の繭美ですよね。
こんなやつ絶対いないや、と思うのに、なぜか親しみを覚えてしまう。いや、こういう人物、身近にいたら嫌でしょうけど、読んでいる間の近しさは不思議です。

とても強く印象に残っているのは女優の出てくる「Bye Bye Blackbird V」ですね。
<余談ですが、この本、目次ではアルファベット表記なんですが、各ページにいくと、「バイバイ、バラックバード V」という風にカタカナ表記なんです>
大きくなったら何になるかと訊かれて「パン!」(パン屋さんではなく、パンです)と答える幼稚園児、最高です。

ちなみに、「Bye Bye Blackbird V」では、「バイ・バイ・ブラックハード」という曲が紹介されます。
『悩みや悲しみをぜんぶつめこんで行くよ。僕を待ってくれているところへ。ここの誰も僕を愛してくれないし、わかってもくれない』というような歌詞らしいです。
また「ブラックバードって、不吉というか不運のことを指しているみたいですよ。バイバイ、ブラックバード、君と別れて、これからは幸せになりますよ」と解説?されたりもします。
本の内容と歌の内容が少しずれているのもまたポイントなのでしょうね。



タグ:伊坂幸太郎
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