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GOSICK VIII -ゴシック・神々の黄昏- [日本の作家 桜庭一樹]


GOSICK -ゴシック- VIII 上 ゴシック・神々の黄昏 (角川文庫)GOSICK VIII 下 ゴシック・神々の黄昏‐ (角川文庫)

GOSICK -ゴシック- VIII 上 ゴシック・神々の黄昏 (角川文庫)
GOSICK VIII 下 ゴシック・神々の黄昏‐ (角川文庫)

  • 作者: 桜庭 一樹
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
クリスマス当日、ヴィクトリカが所望したのは、15個の謎――必死で謎を集める一弥は、村に起こりつつある異変に気づく。それは、大いなる変化、すなわち“2度目の嵐”の前触れにほかならなかった。迫る別れと、自分の運命を正しく予感したヴィクトリカは、一弥にある贈り物をする。一方首都ソヴレムでは、ブロワ侯爵が暗躍、娘ヴィクトリカを武器に権力を握ろうとしていた――大人気ミステリ怒涛の最終ステージへ。(上巻)
監獄〈黒い太陽〉に幽閉されていたヴィクトリカは、母コルデリアの身代わり計画により脱出。ロスコーとともにソヴュールを離れて海の彼方へ。徴兵された一弥は、彼女を想いつつ戦場の日々をひたすらに生き延びてゆくが、ある日の敵襲で……。アブリルに、セシルに、グレヴィールに、古き世界に大いなる喪失と変化が訪れる。その先に待つものは? そしてヴィクトリカと一弥に再会の日は……!? 大人気ミステリ、感動の完結編。(下巻)


読了本落穂拾いです。
2018年1月に読んだ本です。

GOSICKシリーズ最終巻。
番外編を除くシリーズは
GOSICK ―ゴシック―
GOSICK II ―ゴシック・その罪は名もなき―
GOSICK III ―ゴシック・青い薔薇の下で―
GOSICK IV ―ゴシック・愚者を代弁せよ―
GOSICK V -ゴシック・ベルゼブブの頭蓋- (感想ページはこちら
GOSICK VI ―ゴシック・仮面舞踏会の夜― (感想ページはこちら
GOSICK VII ―ゴシック・薔薇色の人生― (感想ページはこちら
GOSICK VIII 上 ―ゴシック・神々の黄昏―
GOSICK VIII 下 ―ゴシック・神々の黄昏―
です。
前作「GOSICK VII ―ゴシック・薔薇色の人生― 」を読んだのが2017年10月ですから、ぼくにしてはさほど間をあけずに読んだことになります。


今回はいよいよ2回目の嵐が吹き荒れます。
ヴィクトリカの父・ブロワ伯爵の怪しい活躍ぶりも激しくなってきます。
そして、ヴィクトリカと一弥はそれぞれ離れ離れを強いられて......

あらすじには大人気ミステリとありますが、シリーズも完結編となると、もはやミステリとは呼べないような。
物語の行方という謎はあっても、ミステリらしい謎ではありませんね。
シリーズを通して紡がれてきた一弥とヴィクトリカのボーイ・ミーツ・ガール物語は完成せねばなりません。
そこへ向けて、世界を巻き込む戦争につれ、物語はうねっていきます。

状況が状況ですし、二人の境遇も境遇なので、どう決着をつけるのかな、心配にもなったのですが、落ち着くところに落ち着いたな、と安堵。

続編も書かれているようなのですが、文庫にはあまりなっていませんね。
「GOSICK RED」 (角川文庫)
「GOSICK BLUE」(KADOKAWA)
「GOSICK PINK」(KADOKAWA)
「GOSICK GREEN」(KADOKAWA)



<蛇足1>
「いかにも大晦日の午前中らしく、天気はいいのにひと気はあまりない。雪玉を投げ合う子供たちが数人、遠くで楽しそうな声を上げている。」(上巻86ページ)
日本と違い、ヨーロッパではクリスマス休暇も終わった大晦日は、普通の平日です。
新年も、三が日が休みなどということはなく、1月1日のみが休みで1月2日から平日です。
なので「いかにも大晦日の午前中らしく」という部分はちょっと解釈が難しいですね。

<蛇足2>
「ヨーロッパは初めこそ二分されたが、新大陸の台頭を鑑みて、次第に団結し始めようとしていた。」(上巻187ページ)
やはり気になってしまいます。「~を鑑みて」

<蛇足3>
「どうしても謝りたいときはフランス語にしようか。ごめんは、Pardonnez(パードン)。」(下巻84ページ)
丁寧にフランス語のスペルが添えてあります。
音もルビのかたちで示されていますが(このブログではルビができないので、括弧書きにしています)、英語ではないので、パードンは間違いですね。
フランス語では「パルドン」の方が近いはずです。
さらにここでは、Pardon ではなく、丁寧なかたちの Pardonnez と書かれていますので、であれば、「パルドン」ですらなく「パルドネ」ですね。
もっともこれは一弥のセリフですから、一弥が覚え違いをしていたらそれまでですが。

<蛇足4>
「父さんや兄さんの持つ、けっして揺らぐことのないあの価値観――男の生き様、天下国家のためにこそ身を犠牲にしても生きる、という考えに対して、疑念を持ちながらも表明できずにいた、弱い人間でもあります」(下巻131ページ)
終盤近くに、一弥が姉瑠璃にあてた手紙の一節です。
この年代の日本人が「生き様」などという極めて醜い日本語を使うとは思えないのですが......




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