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裁くのは俺だ [海外の作家 さ行]


裁くのは俺だ (ハヤカワ・ミステリ文庫 26-1)

裁くのは俺だ (ハヤカワ・ミステリ文庫 26-1)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1976/05/22
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
私立探偵マイク・ハマーの胸にぐっと嗚咽がこみあげてきた。ともに戦火の下をくぐり、みずからの右腕を失ってまで彼を救ってくれたかつての戦友ジャックが至近距離から下腹部に銃弾をぶちこまれて見るも無残な死体となっていたのだ。マイク・ハマーは誓った。この犯人は俺が裁く! この俺の45口径が裁くんだ! 金と顔にものをいわせる特権階級、ボスどもを憎悪し、法律の盲点をついた犯罪をあばいてゆく、タフガイ探偵マイク・ハマー登場! 全世界に一大センセーションをまき起こし、ハードボイルド・ブームの火つけ役ともなった衝撃の問題作!


2021年12月に読んだ9冊目の本です。
またもやどこから引っ張り出してきたんだという古い本で、奥付を見ると昭和63年9月30日の十刷。カバー裏にはバーコードがありません!

同題の作品が大藪春彦にありますが、こちらの原題は "I, The Jury"。意訳ですが、名訳ですね。
非常に雰囲気がよく伝わってきます。

読む前は、ミステリ的興趣は薄く、暴力描写・性描写がすごくて、荒々しくセンセーショナル、という印象を持っていましたが、読んでみるとずいぶん印象が変わりました。

暴力描写ですが、今から見ると、あっさりしたものです。
最近のシリアル・キラーものやサイコ・サスペンスの方がよほど残虐で暴力的です。

そして意外だったことに、マイク・ハマー、それなりにしっかり謎解きをしている!(笑)
確かに本格ミステリではないですし、犯人も探偵もかなり行き当たりばったりではあるのですが、腕力あるいは銃にものを言わせて関係者の口をこじ開けていく、というだけではないのですね。
それなりに考えて行動しています。

印象的なラストも、ちょっと飛躍があるというか、マイク・ハマーの心情に寄り添いにくいところはあるのですが、やはり衝撃的ですね。

ほかの作品も読んでみたい気がしてきましたが、今では入手困難ですね......
もっと早く読めばよかったかな。


<蛇足1>
「フォアイエのわきに女中部屋があった。」(54ページ)
いまだとフォワイエとでも書くでしょうか?
住居にフォワイエがあるって、どんな大邸宅に棲んでいるのだろうと思ってしまいますね。

<蛇足2>
「ハル・カインズ、ご最期だよ」(147ページ)
聞きなれない表現ですが、ご最期という言い方をしたんですね。


原題:I, The Jury
作者:Mickey Spillane
刊行:1947年
翻訳:中田耕治




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