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スマート泥棒 [日本の作家 や行]


スマート泥棒 (双葉文庫)

スマート泥棒 (双葉文庫)

  • 作者: 悠木 シュン
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2017/06/15
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
スマート泥棒――略してスマドロは、閑静な住宅街で白昼堂々、鮮やかな手口で盗みを働き、世間を騒がしている。物語は、ある主婦がスマドロの話題から、自分の半生をどこの誰ともわからぬ電話の相手に延々と喋り続けるシーンから始まる。新たな語り手が登場する度に、彼女をとりまく複雑な人間関係が見えてくる。パズルのようなミステリーの最終章に待ち受ける真実とは!? 第35回小説推理新人賞を受賞したデビュー作!


ちょっと感心できなかったので、厳しめの感想になっていますので、そういうのがお嫌いな方は今日のこの記事は飛ばしてください。

7月に読んだ最後の作品です。
小説推理新人賞を受賞した作品「スマートクロニクル」を筆頭に、短編を連ねて連作長編のかたちにしたものです。
こういうの、小説推理新人賞に多いですね。
有名なところでは、湊かなえの「告白」 (双葉文庫)ですね。

あらすじに
「新たな語り手が登場する度に、彼女をとりまく複雑な人間関係が見えてくる。パズルのようなミステリー」
とありまして、こういう構成でぱっと連想するのが伊坂幸太郎だと思うのですが、新人作家が挑むには、伊坂幸太郎は少々相手が悪いように思います。
伊坂幸太郎と比べると格段に落ちるなぁ、という感想になってしまいますから。

なによりつらいのが「複雑な人間関係」「パズル」に意外性がないこと。
ただただつながっているだけ。そう来たか、とか、そんなつながりがあったのか、というサプライズがあるわけではありません。
各話(各章)の終わりに人物相関図が掲げてあって、それが徐々に完成していく趣向があるのですが、それを観ても感興は沸きませんね。
むしろ、相関図があるがために、章が進んでいくにしたがって、こことここがつながってるんじゃないかな、と読者に見当がつきやすくなってしまっていてマイナスです。
新人の作品にこう申し上げては申し訳ないのですが、労多くして......という感じです。

また新人賞受賞作である「スマートクロニクル」で紹介される泥棒、「スマート泥棒」と呼ばれているのですが、スマートではないですよね。この手口。
むしろ泥臭くはないでしょうか。しかも成功率も低そう。
さらに語られる内容が、正直、グロテスク(な人間関係)。
かといって、いわゆるイヤミスを狙っているようにも思えません。

ただ、伊坂幸太郎ばりの構成を狙ったのは失敗だったと思いますが、独自の作風であることは間違いないので(好みの問題はあるにせよ)、違った構成の作品で勝負してもらえたらな、と思いました。





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