SSブログ
日本の作家 か行 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

赤い糸 [日本の作家 か行]


赤い糸 (幻冬舎文庫)

赤い糸 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 吉来 駿作
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/10/12
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
大学生の修平は、心を寄せる同級生の美鈴に頼まれ、香港郊外での秘密の儀式に同行、言われるがまま赤い糸を体に巻く。死と契る行為とも知らずに……。帰国後、参加者たちは、切っても切れない赤い糸の幻覚に悩まされる。死から逃れるには自分の体を切断するしかない。ついに修平が、彼女に斧を振り下ろす。赤い糸の伝説が恐怖を生む青春ホラー。


2021年11月に読んだ8冊目の本です。
作者の吉来(きら)駿作は「キタイ」(幻冬舎)(文庫化にあたって「ラスト・セメタリー」 (幻冬舎文庫)と改題)で2005年に第六回ホラーサスペンス対象を受賞してデビューした作家です。
「キタイ」の作風が気に入っていたので気になる作家ではあったのですが、寡作なうえになかなか文庫にならず。
ようやく購入できたのがこの作品です。

ジャンルでいうとホラーです。

どんな難病でも癒してしまう儀式。
ただし、その儀式の参加者はその話を誰にもしてはならない。もしすると死んでしまう。

よくある設定といえばよくある設定なのですが、そこに赤い糸という小道具が加わって、強くイメージがわきます。
そしてこの設定を土台にして、ベースはホラーながら、ミステリらしい伏線やロジックがしっかりと仕込まれています。
軽いタッチで書かれていますが、こういうホラー、いいですね。
(理に落ちない方が純粋にホラーとしては怖くてよいかもしれませんので、ホラーファンの方には受けないかもしれませんね)

軽いタッチといいつつ、ラスト近くである主要登場人物が真情を吐露するのですが(282ページから)、この内容が強烈で、考えさせられました。
ここに焦点を当てると、まったく別の印象をもたらす作品になったことでしょう。
ネタバレになるので、色を変えて、自分への備忘のために以下に引用しておきます。
「健康なくせに、目的もなく、ふらふらと生きてる奴がな、おれは憎くてたまらないんだ。健康な体で生まれてきたのに、お前らは、何もしない。命を無駄にするだけだ。与えられた命の価値に気づかず、それを活かそうとしない。おれに言わせれば、お前らは、ゴミだ。それも、最悪のな。おれは、お前らみたいなゴミを、一人残らず殺したいんだ」「お前、おれを見て幸せを感じたろ?」
「誰も彼もが、おれを見て自分の幸せを嚙み締めやがる。あんな風に生まれなくて良かったと。あんなおかしな歩き方をしないで、自分は幸せだとな。おれに前に立った連中の顔に、見る見るうちに幸せが浮かんでくるのがわかるんだよ。おれを見て、可哀想だとか、がんばってと声をかけてくれるがな。そういう言葉の裏で、お前らは幸せを噛み締める。腹の底でおれを笑って、幸せの甘い香りを楽しむんだ」

現状吉来駿作の作品はあと2作出版されているようですが、文庫化されているのは1冊で時代小説のようですね......


タグ:吉来駿作
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:

愚者のスプーンは曲がる [日本の作家 か行]


愚者のスプーンは曲がる (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

愚者のスプーンは曲がる (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 桐山 徹也
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/04/06
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
ある日突然、銃を所持した超能力者(らしい)二人組に拉致された町田瞬。彼らは組織の命令で、危険な能力を持つ(らしい)瞬を殺しに来たのだという。その能力とは、超能力の「無効化」。つまり、瞬の前では超能力者による超常現象は発生しない(らしい)――。なんとか命拾いした瞬は、代わりに超能力者による組織『超現象調査機構』で働くことになり、やがて奇怪な事件に巻き込まれていく……。


2021年10月に読んだ4冊目の本です。
2017「このミス大賞」隠し玉。
第15回 『このミステリーがすごい!』大賞に応募された作品を改稿したものです。
このときは隠し玉として同時に
志駕晃「スマホを落としただけなのに」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
が出て、さらに後から
綾見 洋介「小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録」 (宝島社文庫)
が出ました。
このときの大賞は
岩木一麻「がん消滅の罠 完全寛解の謎」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら)。
ちなみにこのとき優秀賞も2作出ていまして、
三好昌子「縁見屋の娘」 (宝島社文庫)
柏木伸介「県警外事課 クルス機関」 (宝島社文庫)
応募された作品のうち実に6作も出版されているのですね。

『このミステリーがすごい!』大賞の隠し玉は、玉石混交で当たり外れが激しいのですが、この「愚者のスプーンは曲がる」 (宝島社文庫)は当たり、個人的には大当たりです。

超能力がある世界を舞台にしていまして、主人公もその一人。
ただその能力が、他の人の超能力を無効化するというもの。
この発想がまずいいですね。

超能力というのは飛び抜けた能力ですから
「力のあるものが、その力に見合う正当な権利を主張するのは、決して傲慢なことではない」(271ページ)
「下劣で何の力もないやつらが、なぜのうのうと生きているのかと。なぜ俺たちがそれに迎合しなければならないのかと」(272ページ)
といった感想を持つ人たちも出てきます。
一方で、超能力については「持つ者の哀しみ」描いた作品群がありますが、本書はその哀しみを正面から扱うのではなく、他の人の超能力を無効化する主人公を抛り込むことによってドタバタ喜劇に転化しています。

そして独特のキャラクター陣が繰り広げるを支えるのが、軽妙な文体。
主人公ぼくの語り口が非常に心地よくて、楽しい。物語の早いテンポとマッチしています。
物語の着地も、きちんと決まっています。

こういう作者の作品はほかの作品も楽しめるはず。
さっそく「ループ・ループ・ループ」 (宝島社文庫)を買いに行きました。
楽しみです。


nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:

沸点桜 ボイルドフラワー [日本の作家 か行]


沸点桜(ボイルドフラワー)

沸点桜(ボイルドフラワー)

  • 作者: 真理, 北原
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/02/15
  • メディア: 単行本

<帯あらすじ>
私たちは負けない。永遠に。
新宿歌舞伎町でセキュリティをするコウは、生きるためなら手段を選ばないしたたかな女。元情夫のシンプの指示で、風俗店〈天使と薔薇〉から逃亡した淫乱で狡猾な美少女ユコを連れ戻しに成城の豪邸へと向かう。そこには敵対する角筈の殺し屋たちが待っていた。窮地を躱したコウはユコを連れ、幼いころに暮らした海辺の団地に潜伏する。束の間の平穏、団地の住民たちとの交流、闇の世界から抜け出し、別人に生まれ変わった危ない女とやっかいな女の奇妙な共同生活。幼いころから虐待され、悲惨な人生を歩んできた二人に、安息の日々は続くのか――。


2021年9月に読んだ9冊目の本で、単行本で読みました。
第21回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

もう既に文庫化されています。

ボイルドフラワー: 沸点桜 (光文社文庫)

ボイルドフラワー: 沸点桜 (光文社文庫)

  • 作者: 真理, 北原
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/03/12
  • メディア: 文庫


こうしてみると、文庫化にあたって、漢字とカタカナのタイトルを逆転させて、小幅ながら改題したのですね。

帯に
「抗え。生きろ。それが運命ならば。
 女たちのデュエル」
と書いてありまして、デュエル? と思いました。
対戦とか決闘とかいう意味ですね。
映画「最後の決闘裁判」(感想ページはこちら)の原題が「The Last Duel」でしたね、そういえば。

正直ミステリーとしてそれほど優れているとは思いませんでした。
それどころか、さらに失礼を顧みずいうと、小説としても決してうまくはないな、と。文章も変なところが多いです。
なんですが、最後まで、作者の力に引きずられるようにして読みました。腕力というのでしょうか。

いろんな要素をごちゃごちゃと盛り込みすぎですし、プロットもストーリーもきちんと整理できていないようなとっちらかりぶりです。
いかにもなヤクザな世界に、いかにもなヤクザな登場人物たち。
開巻早々ポンと殺人現場に巻き込まれて、あれよあれよの逃避行。ちょっといびつな形のバディ物としての逃避行です。
あまり好きなタイプの作品ではないし、かなりぎくしゃくしているのですが、なんだかわからない力を感じました。

どんどん作品を積み重ねていけば、こなれていくのでしょうか? あるいは力を失ってしまうのでしょうか?


<蛇足1>
待った。待った。待ちわびた。
だが、案ずるよりも生むが易し。父は来なかった。(7ページ)
ここの「案ずるよりも生むが易し」の使い方が理解できません。どういう意味なんでしょうか?

<蛇足2>
「〈天使と薔薇〉。ゴチック趣味の看板が光っている。」(9ページ)
作者がおいくつのかたか存じ上げませんが、未だ「ゴチック」という人がいるんですね。

<蛇足3>
「さらさらと庭木の葉ががなり、」(15ページ)
「さらさら」と「がなる」というのがどうしても一致しません。
ぼくとは違った言語感覚を持った作者のようです。
「一三〇〇ccの車体に似合わない排気量のエンジンが立ち上がる。」(46ページ)
エンジンが「立ち上がる」という表現もあまり見ませんね。

<蛇足4>
「防波堤沿いに積み上げられたテトラポッドの端から、海面をのぞき込んだときだった」(125ページ)
テトラポッというのは登録商標で一般名称は消波ブロックだと聞いたことがあります。
aikoさんのおかげで、今ではテトラポッの方が流布しているかもしれませんね。

<蛇足5>
 トリガーを引いた。
 第二関節の腹が、固まったトリガーに喰い込んだ。ジャミングだ。こんな馬鹿な。見えていれば、わかることだった。指先で遊底をなぞると、スライドが前に出ていない。思わず笑ってしまった。こんなこすいことは十三年ぶりだ。(211ページ)
ここの「こすい」もまったく意味が分かりません。

<蛇足6>
「神経症のように何度もばらしては、鋼の獲物を組みなおした。」(295ページ)
ここは「獲物」ではなく「得物」でしょうね......

<蛇足7>
「この二十数年、毎日、常同行動のように繰り返した格闘技の鍛錬も、今日で最後だ。」(295ページ)
常同行動がわからず、調べました。
「まるで行動の時刻表があるかのように決まった時刻に同じようなことをすること」のようです。
とすると、常同行動のようにというのは変ですね。常同行動そのものなのですから。

<蛇足8>
タイトルのボイルドフラワー、沸点桜、となっていますが、boiled flower だと茹で上がった花、ですね。沸点というニュアンスはまったくないような。
それに、桜は、フラワーではなく、ブラッサム blossom ですね。



nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:

深山の桜 [日本の作家 か行]


深山の桜 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

深山の桜 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 神家 正成
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2016/03/04
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
日本から約一万二千キロ、アフリカ大陸。国際連合南スーダン派遣団の第五次派遣施設隊内では盗難が相次いでいた。定年間近の自衛官・亀尾准陸尉と部下の杉村陸士長が調査に乗り出すが、さらに不可解な事件が連続して発生する。果たして相次ぐ事件は何を意味するのか。日本から特別派遣されてきたオネエの警務官・植木一等陸尉も調査に加わり、事件の謎に挑む。『このミス』大賞優秀賞受賞作!


今回の読了本落穂拾いは、前回感想を書いた「いなくなった私へ」 (宝島社文庫)と同時に第13回 『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞に選ばれた「深山の桜」 (宝島社文庫)

「いなくなった私へ」と対照的に硬質。
硬質も硬質。国連平和維持活動として海外派遣された自衛隊の宿営地が舞台ですから!

本書のタイトル、「深山の桜」は「与えられた任務を黙々とこなる自衛隊員の姿を、だれも訪れない山奥で人知れずひっそりと咲く桜の花になぞらえたもの。」と解説で大森望が簡潔にまとめている通りで、自衛隊の徽章につかわれる桜星にちなんでいますね。
「忍耐の忍の字は、刃と心でできている。忍とは刃を持つ者に求められている心なの。自衛隊は日陰者でいいのよ。国を護るという日の当たらない仕事を続けるには、地道な努力を怠らず、迷いや苦しみを外に表さず、言い訳もせず、他人に理解されない戦いを最後まで続ける矜持を持たなきゃいけないの」(224ページ)と植木も語っていますが、同じ224ページに引用されている吉田茂の言葉は強烈ですね。
自衛隊のみなさまの日頃に敬意を表したくなります。

自衛隊の置かれている理不尽な環境(憲法や法律の制約)というのはよく言われていることですが、それが圧倒的なディテールに支えられて提示されるのがまずポイント。
非常に硬い印象で物語が進んでいき、”盗難事件” の緊迫感が伝わってきます。
すごくいい。
一転、後半になると、植木一等陸尉が日本から派遣されてきて、トーンが和らぎます。
一方で、宿営地をめぐる状況は一層緊迫化。植木が来なければ読者の息が詰まっちゃったかも、と思える。

犯人の行動を考えたとき、この事件は果たして効果的だったのか、もっと良い手はなかったのか、と考えてしまいましたが、読者がこういうことを考えるのも、作者の計算のうちかもしれません。
ミステリ的な仕掛けという点では注目を集めることはないかもしれませんが、満足しました。
神家正成、注目したくなりました。


<蛇足1>
本書冒頭、自衛隊に送られた脅迫状メールの末尾が
「懸命なるご判断をなされることを心より願っております。」(77ページ)
となっています。
"賢明なる" の誤植であろうと思いますが、自衛隊のおかれている境遇に鑑みると、"懸命なる" でもよいのかも、などと思ったりもしました。

<蛇足2>
「ケ・セラ・セラ」という語について登場人物が語るシーンがあります。
「なるようになる。けれどそれは、どうにでもなれ、などという、決して風任せの日和見的な言葉ではなく、こうなるはずのものは、こうなる--。自分の意志こそが物事に意味を与えるものなのであり、自分が信じるようになる--という意味と自分はとらえています。決して他人任せの見責任な言葉ではありません。」(195ページ)
「ケ・セラ・セラ」は、単純に「なるようになる」と解釈していましたが、セットの英語 Whatever will be, will be からすると、この登場人物のいうようにとらえるほうがニュアンスとしては近いのかな、と思えてきました。

<蛇足3>
「一九八九年に制式採用された八九式5.56ミリ小銃(ハチキュウ)」(184ページ)
「制式」に、ん?、と一瞬思いましたが、すぐに、そうだった、正式ではなくて制式だった、と思い出しました。

<蛇足4>
「油圧ショベル」という語が185ページに出てきます。
ショベルにも大小いろいろなものがありますが、ずっと子供のころから、シャベルだと思っていました。
ショベルのほうが一般的なようで、JISも表記はショベルらしいです。
wikipedia によると、どちらも使うようですね。
英語では shovel 。スペルからショベルが正しいと思われがちですが、発音はシャベル、なんですよね......




nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:

いなくなった私へ [日本の作家 か行]


いなくなった私へ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

いなくなった私へ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 辻堂 ゆめ
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2016/02/04
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
人気絶頂のシンガーソングライター・上条梨乃はある朝、渋谷のゴミ捨て場で目を覚ます。昨夜からの記憶がなく、素顔をさらしているのに誰からも上条梨乃と認識されない状況に戸惑う。さらに街頭ビジョンには、上条梨乃が自殺したというニュースが流れており……。梨乃は自分を上条梨乃と認識できる青年・優斗らの力を借り、自らの死について調べだす。『このミス』大賞優秀賞受賞作!


読了本落穂拾い、続けます。
「殺し屋たちの町長選」 (宝島社文庫)が応募されたとき、第13回 『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞受賞作です。
一言でいうと、ウェルメイドな作品だったと思います。非常に丁寧に書かれている。

冒頭、南アジアのとある国を舞台にした手記が掲げられ、その後すぐに、現在の渋谷、主人公である上条梨乃の視点へ。
第一部から第四部、そしてエピローグという構成ですが、いずれもこのかたち。

自分のことが自分だと周りに認識されない、というのは時折ミステリでも見られる趣向で魅力的ですが、そこはこの「いなくなった私へ」 (宝島社文庫)の場合、ミステリ的には解かれません。
SFというかファンタジー的な設定ですね。選考委員の大森望の帯のコメントでいう超自然設定です。
この設定を軸に、物語世界がしっかりと丁寧に作られています。
おそらく数多くの読者があれっと思うであろういくつかのポイントも、しっかり回答が用意されている。
物語としても、主人公の成長物語になっていて、芸能界という派手な舞台を背景にきちんとボーイ・ミーツ・ガールでもある。
個々のパーツに不満はないこともないですが(たとえば主人公、いい人すぎませんか? また、犯人?の背景は、設定からくる要請とはいえ、少々安易かと思います)、作者の力を十分感じる作品でした。
これ、大賞じゃないんですね......



nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:

殺し屋たちの町長選 [日本の作家 か行]


殺し屋たちの町長選 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

殺し屋たちの町長選 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 加藤 鉄児
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/07/04
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
失踪した姉探しの途中で、知らず知らずミツルがエントリーしたのは、殺人斡旋サイトだった! 強迫神経症の自称・斉藤は、その症状により仕事を干された殺し屋。再起をはかるべくサイトから選んだのは、愛知県仁宝町の町長立候補者。報酬額は格安の100万円。だが他にエントリー者がいることを知り、斉藤は焦る。元役人コンビ、殺し屋組合の経理担当者など、殺し屋たちのバトルが始まる!


読了本落穂拾い、続けます。
2015「このミス大賞」隠し玉。
第13回 『このミステリーがすごい!』大賞に応募された作品を改稿したものです。
このときは同時に、
山本巧次「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
も隠し玉として刊行されました。
ちなみに、この年の大賞は、
降田天「女王はかえらない」 (宝島社文庫)
優秀賞が、
辻堂ゆめ「いなくなった私へ」 (宝島社文庫)
神家正成「深山の桜」 (宝島社文庫)
豊作の年だったようですね。

「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」がおもしろかったので、同時隠し玉の「殺し屋たちの町長選」 (宝島社文庫)にも期待してしまうところです。

殺し屋に”組合”がある、という設定は面白いです。その名も東日本特殊請負業組合。
そこが仕事を斡旋する、しかもネットで、というのも面白い。
よく考えたなぁ、と。
多彩な殺し屋が一つの殺しをめぐって競い合う。
人を食った設定にふさわしく、殺し屋たちのキャラクターも人を食っている。
いいではないですか。
ターゲットは町長選の候補者。
こちらも一筋縄ではいきません。

解説で古山裕樹が
「人物も事件もふざけた印象が強いけれど、物語のつくりはいたって丁寧。多数の登場人物が、それぞれの目的のために好き勝手に動き回りながらも、ラストは綺麗に着地を決めてみせる」
と書いていますが、そういう作品です。

設定などから伊坂幸太郎との類似が指摘されることもある作品のようですが、あまりその点は気になりませんでした。
であれば、いい作品でした。めでたし、めでたし、のはずなんですが、どうも物足りない。
そこそこサプライズになりそうな要素も仕掛けられているのですが、いずれも小粒で弾けない。
なんともじれったくなる作品でした。


<蛇足>
「だったら後腐れのないほうを、さわりだけでも試されることをお勧めします」(75ページ)
よくある誤解ではありますが、”さわり” の意味を勘違いされているのでは?
導入部、出だしという意味ではありませんよ。
同じように
「姑息な手段も正当な業務と言い切る小槍が頼もしい」(92ページ)
の "姑息" の意味も勘違いされているように思えてなりません。
卑怯な、ずるいという意味ではありません。



nice!(15)  コメント(0) 
共通テーマ:

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官 [日本の作家 か行]

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 梶永 正史
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/01/08
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
警視庁捜査二課主任代理、郷間彩香。三十二歳、独身、彼氏なし。贈収賄や詐欺などの知能犯罪を追う彩香は、数字に手掛かりを求めて電卓ばかり叩いているため“電卓女”と呼ばれている。そんな彩香に刑事部長から特命が下った。渋谷で発生した銀行立てこもり事件の指揮をとれというのだ。犯人が現場の指揮と交渉役を彩香に任命するよう名指ししたという。彩香は困惑しながら臨場するが……。


読了本落穂拾い、続けます。
第12回 『このミステリーがすごい!』大賞を八木圭一「一千兆円の身代金」 (宝島社文庫)と同時受賞した
梶永正史「警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官」 (宝島社文庫)です。

このところ、タイトルのことばかり言っている気がしますが、この作品は、タイトルがつまらない。
世は警察小説ブームで、流行っているから新人賞に警察小説で応募して来たのかなぁ、と思いましたし、タイトルまでそういう感じを漂わせているからです。
警視庁〇〇課誰それっていうタイトル、本屋さんの棚にあふれているでしょう? もう何匹目かわからないドジョウを狙うような新人いらないよね、という感覚です。
でも、『このミステリーがすごい!』大賞 は、ミステリ的にはあまり信用できる賞ではありませんが、大賞を獲るということはしっかりした作品なのでしょうし(例外はあるにせよ)、さてさて。
(ちなみに応募時のタイトルは「真相を暴くための面倒な手続き」だったようです)

もともと警察小説は得意ではないこともあってあまり期待せずに読み始めたのですが、おもしろかったです。

扱われているのは銀行強盗、ではないですね、正確には銀行立て籠もり。
警察小説にしてはちょっと変わった展開を遂げていきます。
そもそも郷間が指揮をとらされるというのも変ですし(しかも犯人の指名!)、SATから狙撃手である巡査部長如月は送られてくるは、警察庁長官が指名したという警視長吉田が現場に派遣されてくるは。とどめ?を指すように、犯人グループの主犯は元警視庁捜査二課の刑事國井!
銀行強盗事件とは思えないストーリー展開がハイテンポで続きます。その間、犯人からの要求含め強盗事件の進展はない......

これを支えるのが郷間をはじめとするキャラクター。旧知の野呂刑事部長といい、謎めいた吉田といい、実際の警察にはいそうもないタイプ、というのは言い過ぎかと思いますが、少なくとも一般的な警察小説で描かれる警察にはいそうもないタイプ。

事件の背景とかがやや類型的なのは気になるものの、楽しく読めます。
郷間彩香をメインに据えてシリーズ化もされているようで、遅まきながら追いかけていきたいかも、と思ったのですが、現在シリーズはほとんど入手困難なようですね......


<蛇足1>
「そして今日は渋谷にある新世界銀行に来ていた。銀行の社内報に載せる、支店長の記事を書くためだ。」(16ページ)
たかが社内報の記事にライターを雇うとは、なんと余裕のある銀行なのでしょうか...

<蛇足2>
「現会長の長男が積極的な融資策をとり、グループ全体の業績を上げている。業界内では、決して焦げ付かないことから『フッ素加工されたフライパンのような投資』とか、-略-言われている。」(35ページ)
銀行業界で、融資のことを指して投資と呼ぶことはないと思います。




nice!(15)  コメント(0) 
共通テーマ:

一千兆円の身代金 [日本の作家 か行]

一千兆円の身代金 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

一千兆円の身代金 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 八木 圭一
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
第12回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作。元副総理の孫が誘拐された。日本政府に突きつけられた犯人からの要求は、財政赤字とほぼ同額の1085兆円の支払いか、巨額の財政赤字を招いた責任を公式に謝罪し、具体的再建案を示すかの二択だった――。警視庁は捜査一課特殊犯係を直ちに全国に派遣し、国家の威信をかけた大捜査網を展開させる。やがて捜査陣は、あるブログを見つけるが……。


読了本落穂拾い、続けます。
「二万パーセントのアリバイ」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
「泥棒だって謎を解く」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
2冊の2014年『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉に続いては、いよいよ(?)第12回大賞受賞作、
八木圭一「一千兆円の身代金」 (宝島社文庫)
梶永正史「警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官」 (宝島社文庫)
です。

まずは、「一千兆円の身代金」から。

タイトルがキャッチ―ですね。
なにしろ一千兆円。
身代金、というからには、誘拐ミステリなのでしょう。
誘拐ミステリというと数多の名作があります。それらに伍す作品となっているでしょうか?

ところがですね、冒頭を読んで拍子抜け。
誘拐されたのも元総理の孫の小学五年生の子ども一人。
20ページに早くも脅迫状が出てきます。
あらすじにもありますが......
要求先は日本政府。身代金は1085兆円!
これは日本の(当時の)財政赤字と同額に設定されています。
超巨額の身代金のように見えますが、この要求が受け入れられない場合は、財政危機を招いた責任を謙虚に反省し、国民に対して公式謝罪。

うーん、こうなると、巨額の身代金を奪取する、という話ではないのですね。
誘拐ミステリの面白さの一つに、身代金の授受を巡る駆け引きがありますが、これは最初から放棄されている。
誘拐犯の目的は最初から、謝罪、のほうなんですね。
しかも、犯人の設定が極悪という感じになっていませんので、誘拐された人質の身の上もあまり心配しなくてよい。

正直、なんだかなぁ、と思いました。
「一千兆円の身代金」というタイトルは、偽りではありませんが、ミステリファンに訴求するポイントでは全くない。

誘拐の捜査も、人質の動向も、新味はなく、誘拐ものとしたの興趣はほぼありません。
新聞にも出ているし、あちこちで繰り返し指摘されている問題(日本の財政赤字)を、新しい情報もなくただただ書かれても、興味はわきません。社会派として捉えても、レベルは低い。
ミステリとして評価はできない気がします。

茶木則雄の解説によると、財政問題は著者が長年ノンフィクションとして挑んできたテーマらしく、広く訴える手段としてミステリーを選択されたようです。
であれば、ミステリーの力を信じていただいたという点でミステリーとしては光栄だと捉えるべきなのかもしれませんが、迷惑ですねぇ......
ミステリーとしての出来は置いておくとしても、そもそも財政赤字問題そのものについても突っ込み不足で、通り一遍ですけれども。

第2作である「警察庁最重要案件指定 靖國爆破を阻止せよ」 (宝島社文庫)がどうなっているのか、逆に興味が出てきましたよ。


<蛇足>
この作品で興味を持てたのは、
「海外旅行は人並みにしてきたが、未訪のマチュピチュやフィンランドのオーロラあたりは見たかった。あと、ギリシャにあるクティマ・アナスタシア・アパートメンツというホテルやスペインにあるエル・クラブ・アジャルドってレストランにも行ってみたい。」(343ページ)
という部分でした。
クティマ・アナスタシア・アパートメンツとエル・クラブ・アジャルドは、知らなかったので。



nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:

泥棒だって謎を解く [日本の作家 か行]

泥棒だって謎を解く (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

泥棒だって謎を解く (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 影山 匙
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
中高生時代に親友だった四人の男。桜庭(サク)と清水(おりん)は長じて刑事に、久間と兵衛(ヒョエ)は泥棒となった。ところが、故郷の鷺ノ下市でこの二組が再会した翌日、事件が起きた。サクの恋人が遺体で見つかったのだ。物盗りの犯行――、しかも窃盗常習犯によるものとされたが……。やがて事件は思わぬ展開を見せる! 話題作が続々、『このミステリーがすごい!』大賞の“隠し玉”作品がついに登場。


読了本落穂拾い、続けます。
2014年『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉で先日感想を書いた「二万パーセントのアリバイ」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら)と同時刊行でした。

ちなみに、このときの大賞は
梶永正史「警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官」 (宝島社文庫)
八木圭一「一千兆円の身代金」 (宝島社文庫)
です。

「二万パーセントのアリバイ」 (宝島社文庫)は見掛け倒し、誇大広告、タイトル負けしている作品でしたが......
こちらはタイトルがまずい。
「泥棒だって謎を解く」なんて、洒落たつもりかもしれませんが、泥棒が探偵役をつとめることなんて、アルセーヌ・ルパンをはじめとして、ミステリではごくごく当たり前。
正直、何のセールスポイントにもなりません。
応募時点のタイトルは「正邪の獄(ひとや)」だったらしく、こちらもあまりすっきりとはしないタイトルですが......
ミキワカコさんのカバーイラストでなかったら、なかなか読む気にならなかったかも。

冒頭、キーとなる四人の再会シーンです。
香山二三郎の解説では
「中高生時代に親友だった四人の男がファミレスに集って自分たちの仕事――泥棒と刑事であることを互いに明かすプロローグでは脱力したものの」
「ふたりの男が泥棒と刑事になって再会するのはありだろうけど、二対二はちょっとあり得ないと思った。」
と書かれていますが、まったく気になりませんでした。
このことを最後まで隠していてラストで明かしていたらとんでもないと思ったかもしれませんが、物語の前提として冒頭で明かすのであれば問題ないと思います。
一種のシチュエーション・コメディなのかな、と思いました。
すぐにわかるのですが「その文体、語りも抜け抜けとしたというか、終始飄々としている」とその解説でも書かれているように、語り口も大きなプラスポイントです。

この優れた語り口に乗せられて、すいすい読める、楽しいだけの作品なのかな(楽しいだけの作品も貴重なので大事にしたいのですが)、と思っていたら、とんでもない。
100ページを超えたところで、物語は大きく転回します。
ここにまずびっくり。
刑事(桜庭)の恋人が殺されるという展開だけでもびっくりだったのですが、まさか、まさか。

このあとも、四人が再会した鷺ノ下市を舞台に、予想外の展開が続きます。
帯に「二転三転! 予測不可能! 意外性の連打!」と書いてありますが、まさにその通り。
小気味よく作者に引っ張りまわしてもらいました。
楽しい。
(余談ですが、解説に「本文二七〇ページで明かされるある言葉にご注目! そこで披露されるアイデアは爆笑必至だが、と同時にトリックメイカーとしても著者が柔軟な発想の持ち主であることを明かしていよう。」と書いてあるところで、ぼくも爆笑しました。
ただページは269ページだと思います。解説を書かれた時のゲラからページがずれたんでしょうね。このあたりは編集者がきちんとフォローするべきかと。)

タイトルの印象を大きく覆す快作でした。
語り口がよいので、ほかのアイデアの作品でも楽しめるはず。
残念なことにこの「泥棒だって謎を解く」のあと出版されていないようです。
新作、期待します。


<蛇足1>
「桜庭が簡単な食事会の場所と時間をセッティングした。三人はすぐに参加の意思を示してくれた。」(10ページ)
今では普通になってきていますが、こういう場合の「いし」は「意思」ではなく「意志」と書くべきだと思います。
「意思」は本来法律用語ではなかろうかと。

<蛇足2>
「犯人は土地勘のある人間だ。」(148ページ)
この表記もよく見られますが、「土地勘」ではなく「土地鑑」が正しいと思います。
意味からしても、勘は間違いだと。





nice!(15)  コメント(0) 
共通テーマ:

二万パーセントのアリバイ [日本の作家 か行]

二万パーセントのアリバイ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

二万パーセントのアリバイ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 越谷 友華
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
埼玉県草加市で男児の変死体が見つかった。現場付近で採取された精液のDNA鑑定の結果、16年前に同様の手口で男児を殺した坂本一寛だと判定された。しかし坂本は現在、仙台の刑務所で服役中だ。捜査一課の荒巻は捜査を進めるうち、坂本が児童養護施設で育ったことを知る。いっぽう、16年前の被害者遺族の松原は独自で犯人探しをするが――。鉄壁のアリバイに挑む不可能犯罪ミステリー。


更新に少し間が空いてしまいましたが、読了本落穂拾いを続けます。
2014年『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉。
同じく隠し玉の影山匙の「泥棒だって謎を解く」 (宝島社文庫)と同時発売でした。
ちなみに、このときの大賞は
梶永正史「警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官」 (宝島社文庫)
八木圭一「一千兆円の身代金」 (宝島社文庫)
です。

この作品、タイトルがいいですよね。
完璧な状態で100%。完璧も完璧、絶対確実である場合に120%とか言ったりしますが、この作品は、なんと二万%!
100%からすると、それの200倍強固であるわけです。
作者の並々ならぬ意気込みと自信が伺えるというものではありませんか。

アリバイ崩しの例だと斎藤栄の「真夜中の意匠」 (徳間文庫)という作品など、容疑者が1つアリバイが崩されると別のアリバイを申し立て、それが崩されるとまた別のアリバイを申し立てる、と確か4つくらいのアリバイが用意されていた、という筋立てで、さしずめ400%のアリバイ。
でも200倍ですからね。200個もアリバイを申し立てたりはしないでしょう。
清涼院流水の「コズミック」 (講談社ノベルス)には1200個の密室が出てきますけどねぇ(笑)。

さて、どんな趣向を凝らしてくれるのか、とミステリファンとしてはわくわくします。

ところがです、蓋を開けてみると、容疑者が刑務所にいた、というだけ。
拍子抜けとはこのこと。
確かに完璧なアリバイではあるのでしょうが、ミステリ的には先例がいくつかあり、失礼ながら平凡。
二万、にも意味はありません。
「坂本には現時点で、二〇〇パーセントどころか、二万パーセントのアリバイがある。」(167ページ)
という地の文が出てきますが、何の説明もなく、単に100%を強調しているだけです。
これでは誇大広告、詐欺に近い。
では、トリックが特に優れているのだろうな、と思ったら、このアリバイを成立させるトリックがなんとミステリ的にはあまりにもお粗末なシロモノ。
よくこんなの出版したなぁというレベルでした。

吉野仁の解説によると、「もとは一種のホラーテイストを帯びていた小説」で、「刑務所に服役している男の生き霊が新たな事件を起こしたのではないか、という設定が含まれていたものの、いまひとつその設定が生かされていなかった。」「欠点を修正し、『不可能犯罪の謎』を前面に打ち出す形で刊行された」らしいです。
誰がアドバイスしたのか知りませんが、あまりにもミステリのセンスなさすぎで驚きます。

この作品は受賞作ではなく、隠し玉です。
編集者だか評論家だか知りませんが、きちんと導いてあげてほしい。
なにより、こんな作品でデビューしてしまったら作者が不幸です。
まあ、隠し玉に期待するほうが間違っているのでしょうが、それにしても残念です。


nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | 次の10件 日本の作家 か行 ブログトップ